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うさぎさんを助けましょ

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メールボックスに1通の緊急メールが届いた。送り主はうさぎらしい。

最後の力を使ったので、もうダメかも知れないとタイプされていた。

緯度と経度が書き込まれていたので、座標を調べてメモをした。

急いで支度を整えた私は、夜中のうちに家を出たんだ。


澱んだ香り。 沈殿する物質。 べとつく何か。 そこは都心から数十キロ離れた場所にあるゴミステーションだった。
彼女はGPSで自分の位置を歩きながらモニターしていた。表示マップの中心を自宅でブックマークした位置と重ねるためだ。
点と点が近づくに連れて、集積物は山なって染み出す液体は沼となって彼女の行く手を塞ぎはじめた。

でも、どんな場所にも時は訪れる。日が昇りはじめると澱みを一掃するように止まっていた風が動いた。
色んな色の色んなカタチ。光が差込むと捨てられたモノ達も鈍い輝きを放ち始めた。負の楽園が彼女の訪問を歓迎している。
手に持っていたGPSをポッケに仕舞った。彼女の視線はピンク色の固体を見据えている、目標の奴をみつけたようだ。

「おはよっ」
彼女はピンク色をしたうさぎに声を掛けてみた。
でもうさぎは起きなかった。力尽きてうつ伏せに寝転がったままだ。

ゆさゆさっ

・・・

ぐぃぐぃ!

・・・

「仕方が無いな」
彼女は目覚めないうさぎをおいて辺りを探りだした。ひょこひょこと何かを抱えて戻って来ては少し遠くの方も探して歩く。
集めてきたモノはフライパン、カセットコンロ、ライターにフォーク、それと小さなテーブルだった。
「あと1個足りないかな・・」「んー・・・どこだろう」「あっ冷蔵庫!」ゴソゴゾっ ごそごそっっ 「あった!」

何でも揃うこの場所で足りないモノがあるとしたら、それはなんだろう…

ジュウジュウという音が聞えて、ゴミ溜まりの原っぱでは焼き卵の匂いがした。ピンクのうさぎがムクリと起きてきた。
「おはよっ これどうぞ」
テーブルにはフライパンごと置かれた目玉焼きと、ヒビ入りコップのミルクが並ぶ。ちょっとしたモーニングセットのようだった。

「メール見てくれたのかおまえ・・」そう、うさぎが喋った。
「まあ・・ね」フォークをうさぎに差し出しながら彼女は返事をした。

「調味料無くてたまごに味付け出来なかったんだ。ごめんね」
「・・・いんや、きっと全然平気さ」
頭を垂れていたピンクのうさぎから汁がぽとぽとと、まだ熱の篭るフライパンへと落ちていく。
まんまるになった目から溢れだした粒は、少し塩っぱい涙みたいだった。。



                  〔うさぎさんを助けましょ〕

挿絵( http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/s/sawani-co/20161121/20161121145449.jpg )