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LIPLAB

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デッサン泊まり

OPB_365_one-night-dessin


「どけ!描けない」

筆とパレットを持った女を押しのけるような男の言葉。

「嫌よ!」

女はその後ろにある石膏像のように動きをとめている。

「僕はどけと言っている!」

「私を描けばいいじゃない!」

「分かった」

そう言うと男は女に背を向けて続きを描き始めた。

静かな美術教室に日が入り込みカーテンが揺らめく。


「そういうのが嫌なのよ君の!」

女は少し長めのカーディガンを脱いで肩を露出させた。


「見て」

「・・・」

「お願い」

「・・・」


「私は石像に負けたのかな」

「・・・」

男は黙々と自分のデッサン世界を描き続けている。


「私がキミの恋人を連れ去ったらどうする?」

男は振り返ると惚れなおすように女をみつめた。

佇む石膏像よりも白く輝いていて見えたのかも知れない。



   〔デッサン泊まり〕

挿絵( http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/s/sawani-co/20161127/20161127215241.jpg