サルベージ
おまえはどこにも行けない陽炎
感覚を忘れたい無垢のかたまり
帰って来ない誰かを待つように
廻る時間は過去だけを刻んでしまう
おまえは未来を幾度も摩り替えなければならない
疼く思い出に鎖を巻いて鍵を掛けてきたのと同じように
開いてくれない未来への扉の前でおまえは鍵束を探すだろう
どうしたって手に入らないのなら聞いてみるといい
沈めてきた記憶の中で待っている自分の分身達に。
〔サルベージ〕
挿絵( http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/s/sawani-co/20161126/20161126155941.jpg )