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LIPLAB

Welcome to my favorite place.

寒空のテタテット

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郊外の空き地で出会った彼は結構緑色だった。
何度かメールのやり取りはしていたんだけどある日、急用があるとかで呼び出されて以来、毎日のように私を呼びだした。 

今日はメールに書いてあった必須物体(彼がそう呼んでいる持って行かなくてはいけないモノ)を用意していつものように会いに出掛けた。


 「やあ、用意して来たよ」


彼は私の持ってきたリュックの中に飛び込んでごそごそした。
そして赤と白のチョークを取り出して地面に何か書いて口を大きく開けて空を見上げた。

私は言いつけ通りに銀紙をめくってからチョコレートを彼の口の中へ放り込んだ。

  ペロペロゴクリ

  今度は皮付きバナナを放り込んだ。

  モグモグゴクリ

  最後にミルクをあげた。

  ゴッキュン


地面にチョークで書かれた円形の模様の上で彼は飛び上がっていきなり叫んだ。
明日はオリーブオイルとニンニクとちょっと太めのパスタが要る!って言った。    


私は一応メモをとった後リュックから途中保存してあるボードゲームを取り出した。
次の順番は彼からだったけどサイコロが振れないからいつものように私が振ってあげた。


振り出しに戻るのコマが多すぎて今日もあがれなかったけど楽しかった。
ピンク色に染まっていく空を見ながら話をしていたら大きなカラスが近くに止まった。
ピョンピョンピョン!と、カラスは彼に近づいて来たら彼が鷲掴みになってしまった!

  「あっこれ新しいともだち」

逆さまになりつつ彼は後でメールするからと言いながら夕焼け空に飛んで行った。



  「王様かぁ。。」


本当の姿は一国の王子様だなんて。。
この世にある全ての食べ物を食べたら変身の呪いがとけるそうなんです。
でも、元の自分の姿を忘れてしまったら全部たべたとしても戻る事が出来ないんだって。


彼の話を思いだしながらそんなどこかで聞いたような、でも切実な記憶のディテールで胸がいっぱいになった。
帰り道のコンビニで必須物体を買って家に帰った。


来週遠くに引っ越す事が決まってたのにその事を彼に言えなかった。
友達にもなんとなく彼の事を言い出せなくて困っているんです。


 ・・明日はフライパンとかも要るのかな。。



         〔寒空のテタテット〕

挿絵( http://img.f.hatena.ne.jp/images/fotolife/s/sawani-co/20161115/20161115181112.jpg )